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クリスマスの思い出

クリスマスの思い出

トルーマン カポーティ / 文藝春秋



村上春樹さん訳トルーマン・カポーティの少年時代のクリスマスの思い出について描かれた短編小説。この時期になると、本棚から引っ張り出してきて読みたくなる本です。

無理解な親戚たちに厄介者扱いされていた少年時代のカポーティと、彼のいとこで親友である60歳の老女(内気で、学がなく、同じく親戚たちにいじめられている)は、クリスマスが近づいてくると、毎年たくさんのフルーツケーキを作ります。

二人とも、一年かけてなけなしのお金を貯めたり、なんとか小遣いを稼いで、ピーカンナッツや、パイナップルの缶詰、ブランデーなどを買い、31個のフルーツケーキを作るのを楽しみにしているのです。

そのフルーツケーキを作る季節の訪れ、ケーキを作る時の描写には、読んでいるこちらもわくわくし、また作り終わった後の寂しさまで、共感できます。

わくわく楽しいだけでなく、彼女たちがフルーツケーキを贈る相手のこと、いとこが驚きとともに口にした神さまについての気づきなど、彼らのイノセントさに心打たれます。

後に添えられた村上さんの言葉も素晴らしいですし、山本容子さんの版画の挿絵も素敵。本当にクリスマスにふさわしい一冊です。
by lucie1104 | 2009-12-24 10:36


読んだ本の簡単レビューと日記


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